書評:メナムの残照(上・下)

 GWは特に大きな予定は入れていない。本を読んだり、プログラムを書こうと決めていた。そこでちょっと長めの本を読む事にした。
 今年の三月にタイに出張で行く事が出来た。東南アジアはTransitのマレーシアと大学院の時にTAの活動のために赴いたブルネイ位しか経験がない。タイに行ってみてもう少し早くにこの国に来るべきだったなが感想だった。正直なところ東南アジアから学ぶべきものは何もないと考えていた。学ぶべきものがないどころか、目から鱗が落ちまくりであった。友達も出来たし、楽しい思い出も沢山出来た。もう少し色々と知りたくなり、この本に出会ったと言うわけだ。
 この本は日本で言う所の「君の名は」のポジションとほぼ同じだ。「ラブロマンス」、「○○がいなくなる。」そんな修飾語で紹介される。執筆したのはタイを代表する女流作家であるトムヤンティ。やっぱり女性目線だとこういうのが理想なんだろうなと言うのが正直な感想だ。それは置いておくとして自分が違和感を感じた所をいくつか書いておく。

 1. 小堀さんがあまりにも軟弱
 いくらご母堂がお花のお師匠様とは言え、あまりにも軟弱過ぎる。まぁ生け花のスキルは女子のハートをわしづかみにするのは間違いないけど、帝国海軍将校でこれはないだろ?でも、冒頭では泥棒への見せしめでガソリン飲ませたり、部下への制裁としてバナナの鬼食いを強要したりしている。(なんのこっちゃ?)

 2. 相手に日本式の名前を(勝手に)付ける
 これって外地で働く人にとっては割と普通の事なんだろうか?確かに望郷の念に駆られるとそうなるかもしれない。自分は韓国人や中国人が西洋式の名前を付けているのも「?」と感じてしまうので、上記の軟弱でフェミニストの小堀さんがアンをいきなり日出子って呼び始めた時は「???」と「?」が三つくらい点いてしまった。ツンデレ女子にこんなことしたら、リアルに炎上するだろ?って感じ。これは戦争当時を生き抜いた文学士のおばさんに訊く事にしよう。

 まぁ、当時のアジアでは日本はブイブイだったから、やろうと思えば陵辱の限りを尽くせるわけだけど、劇中ではそれをしないで社会的地位が最強(=将校)のフェミニストが発展途上国の女性に敬意を持って接したのが琴線に触れたのだろうと思う。

 日本の当時の東南アジアへの足跡を理解していると楽しめるし、ハーレクィーンの様なハッピーエンドにならないのもタイが置かれた立場を物語っている。