書評: 小野田寛郎

 リアルタイムで児童向けの小野田寛郎の自伝は読んだが、大人向けのは今回が初めて。生い立ち、商社時代、徴兵までの流れ、陸軍中野学校時代のこと、派遣、サバイバル、島内での行動と思索、命令解除、帰国後の生活が余すことなく書かれている。圧巻は島内での思索と結論だ。陸軍中野学校出身と言えば情報戦のスペシャリストである、そのスペシャリストをもってしても彼の考えていた日本と現実の日本には大きなギャップがあったのだ。悲しくなると同時にある意味仕方のないことだと考えざるを得なかった。
 島内サバイバルについて詳しく書かれていた当時の児童向け書籍の断片的な記憶があるので、その部分は本書と併せてしっかりとイメージできた。
 戦後と言う言葉が踊りだしたら本書を繙き、リアルに30年戦後が遅れた人間の生き様に思いを馳せても良いかもしれない。

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